1回で見抜けなかった『フェイク』
依頼内容
分譲マンションの天井から、毎朝毎晩・・時間ピッタリ、8:30になると、『鳥』が鳴き出すので、朝、8:30に来て調査をして欲しいとの事でした。
こんな依頼は、初めてで、朝は分かりますが、夜も鳴く?
屋外でなら、木に群がった『ムクドリ』が、夜に鳴く光景は、見た事がありますが、マンションの一室で?と首を傾げました。
現場調査
AM8:00に現着をして、調査を始めました。
音の鳴っている場所も、教えてもらいましたので、いつもの手順で調べていきました。
『そもそも、どこから天井に侵入したのか?』
築年数のある和風建築であれば、隙間がどこかにあっても納得出来ますが・・ここは、マンションです。外から侵入出来るとすれば、換気扇しかありません。
しかも、天井に侵入出来る条件は、外のカバーから侵入出来て、中のダクトが破れている事。

でも、ベランダにある『換気扇』の出口は、侵入出来ません。
頭の中が、『・・・・・』この状態です。
運命の ”AM8:30”
鳴き出しました!
時間ピッタリです。
『ムクドリ』の鳴き声でした。
すぐに点検口を開けて、天井裏を覗きました。マンションの天井なので。頭しか入れません。
木材が組まれていて、遠くを見る事が出来ませんでした。確かに、天井で『鳴り響いています』。。。綺麗な『鳴き声で』。
現場調査 1日目
天井に、頭を入れて、邪魔な木材の上に手を伸ばし、カメラで見えない『向こう側』を撮りました。
鳥が営巣しているなら、痕跡があるはずですが、映像には『綺麗な天井』でした。
そうこうしてるうちに、鳴き声が止みました。
頭の中は、『・・・・・』
解明できなかった『脱力感』に包まれながら、翌日にまた訪問することを約束して、1日目は現場を離れました。
1日目を、回想すると
間違いなく、侵入は不可能であること。
『鳴き声』が、3段階の鳴き方をしていて、それの繰り返しであったこと。
違和感があったものの、天井から鳴き声がするという『先入観』があって、しかも天井の中に鳴き声が響き渡っていたこと。意識がそこから抜け出すことが出来ませんでした。
敗北感を携え、2日目
AM8:15 現着
鳴き声が、一番していたであろう場所で待ち構えました。
AM8:30『待ち人』ならぬ・・『待ち鳥来る』
鳴き出しました・・・訂正『鳴り出しました』・・・『アラームが‼』
そうです、『鳥の鳴き声』の正体は、時計のアラームでした。
待ち構えた横の、キッチンカウンターの上に、『待ち鳥』が鎮座していました。
調査報告
依頼者は、90代の一人暮らしの元気な女性で、お年を聞いてビックリした程です。
例の『目覚まし時計』は、2週間ほど前に、息子さんからプレゼントをされて、設定をして帰られたそうで、それをすっかり忘れていたとのこと。
同じ時間に鳴り響く、聞きなれない鳴き声に、精神的にもかなり参っておられました。
原因が分かった瞬間に、二人で『大笑い』でした。
もう笑うしかなかったです。
そのあと、90代の、おばあちゃんに入れていただいた、『ドリップコーヒー』は、
本当に、美味しかったです。



